國語問題協議會|歴史的仮名遣い、正漢字の復活



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『國語問題論爭史』に就いて

『國語問題論爭史』は元々、國語問題協議會の創立者の一人だつた故福田恆存が、當時同協議會の主事を務めてゐた土屋道雄氏の協力を得て、昭和三十七年に刊行した書物である。 永らく絶版で、一部が同協議會のウェブサイトで復刻・公開されただけだつたが、土屋氏(同氏は現在國語問題協議會の役員職を離れてゐるが、協議會とは友好的な關係にあるやうである) が舊版を大幅に増補し出版に漕ぎ着けた。  ところが此の程、玉川大學出版部から出た同書は、原稿にあつた金田一京助批判の部分が大幅に削除されてゐる。 實は同じ版元から『金田一春彦著作集』が玉川學園創立七十五周年記念出版として刊行中で、同著作集の編輯關係者から金田一批判は止めろと壓力がかかつたらしい。 云ふまでもなく、金田一京助は金田一春彦の實父である。 又、金田一春彦は生前、玉川大學客員教授を務めた。 大學は學問の場であり、學問の場には言論の自由が不可缺の筈だ。 その大學の出版部で、このやうな言論彈壓が罷り通るとは許し難い。 續きがある。金田一批判削除の詳しい事實關係を、 國語問題協議會會員の野嵜健秀氏が自分のウェブサイトで公表しようとしたところ、 協議會幹部から待つたがかかつたらしい。 理由は確認してゐないが、恐らく折角出版して呉れた版元やその關係者を攻撃すると、 著者はじめ各方面に迷惑がかかると云ふやうな事であらう。 なほ協議會幹部は批判を永久に止めろと云つてゐる譯ではなく、 「一年」くらゐ待つて呉れと頼んでゐる模樣である。  協議會幹部の立場や心情は分からぬでもない。 だから幹部個人が玉川大學關係者への批判を控へたとしても責める積もりは無い。 しかし、その姿勢を他人にまで押しつけるのは行き過ぎではなからうか、 たとへ相手が同じ協議會會員であつても。 野嵜氏は個人情報を暴いたり協議會の内部情報を漏らしたりしようとした譯ではない。 正しい國語表記重視の立場から、公になつた書籍についてその編輯方針を批評しようとしたに過ぎない。  私は最近國語問題協議會に入つたばかりである。 組織が或る目的を達する爲には?々妥協が必要である事は理解してゐる。 しかし玉川大學關係者への批判を「一年」控へたとして、それは一體全體、 どのやうな目的を達する爲に有意義なのか。 玉川大學關係者を批判すると次から正字正假名關係の本を出して呉れる版元が無くなるのであらうか。 それなら「一年」先どころか、永久に批判は出來なくなる。 百歩譲つて、繰り返しになるが、たとへ協議會自體や協議會幹部が批判を遠慮したとしても、 一般會員が個人として批判を表明する事を禁ずる權利は無い筈である。  國語問題協議會は正しい國語表記の復權を目指す組織である。 だが、そもそも國語は何の爲に必要なのか。 花鳥風月を詠ずる爲だけではあるまい。言論の爲である。 國語を大切にする團體は言論の自由を同じやうに大切にすべきである。

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